歌で自分を出す [合唱]
合唱団が今年目指していること。それは自分を出すということです。
美しい声やハーモニーも大切ですが、自分の殻を打ち破り、一心不乱に自分の思いを表現して欲しいという気持ちがあります。
多少、音程がずれていても、僕は子供達が自分を出している!そんな歌がすきです。気持ちがずんずんと心の中に入ってくるような歌が聞きたい。
そんな良い表現のできる子もいます。しかし、まだまだ他人事のように歌っている子が多いです。
今日は「自分を出す」ということを目当てにしました。
こんな歌詞があります。
「悔しくって震えるときも、味方がなくて孤独なときも」
僕の体験を話しました。
高校受験を失敗し、悔しくて震えるような体験をしたこと。
知らない間に、仲間はずれになり、泣きたいくらい孤独な体験をしたこと。
そんな体験に近いことはなかったか聞いてみました。
何人かの手があがりました。
みんなの前で偉いと思いました。
そんな体験を想像して、体全体で表現して歌って!と言いました。
いつもは、下半身をしっかりして立たせ、いい姿勢で歌わせるのですが、今日は、どんな姿勢でもかまわない。手とか足とかで動作をつけて歌って!と要求したのです。
わからない子のために、僕は身体の前で両手でグーにし、力強く握りしめて歌いました。
その部分だけを何度もやりました。
やがて気持ちの入ったポーズや表情で歌う子が何人が出てきました。
その子たちを前に出し、その子たちをみながら全員でまた歌いました。
すると、またまたいい表現の子が何人も現れました。
その子たちを前に出し、また歌いました。
だんだん歌に気持ちが入ってきました。いいぞいいぞ。
最後にこう言いました。
「ではポーズはしないで、それを声だけで表現してみて」
明らかに最初に比べ歌声が変わりました。悔しい気持ち、悲しい気持ち、孤独な気持ちが歌声に、表情に出てきました。
今日やったのは、以下のようなことです。
自分を出すというめあて。
そのために動作をつけ自由に歌わせる。
いい子を前に出し、その子の影響を少しずつ全体に広げる。
最後に声だけで表現する。
こんな流れ。
なんだかうまくいったので、書いてみました。
たまたまうまくいったのかも知れません。
しかし、試行錯誤のこんな積み重ねで歌は作られていきます。
歌って、気持ちを伝えるために生まれたものだと思います。僕は子供達自身の気持ちが歌に現れるような歌が聞きたい。子供達の気持ちの合体が、ひとつのうねりのような迫力を生み、歌がまるで映画のようなドラマになる。
美しいハーモニーや声、音程ももちろん大切です。でも、一人一人の子供達の気持ちが見える歌声。合唱にしていきたいです。
合唱って本当に奥が深いです。
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