福井ソアーベ児童合唱団、坪口先生のお宅訪問!感謝です [合唱]
先週の土曜日、福井ソアーベ児童合唱団の坪口純朗先生ご夫妻のところに招待していただきました。富山のS先生、K先生と僕と坪口先生ご夫妻との楽しいお話タイム。今年で3回目になります。本当にありがたいことです。
玄関で、一枚の絵画のようなものを発見しました。よく見ると、福井ソアーベ児童合唱団ではありませんか。
ウィーン世界青少年音楽祭で、特別大賞をとったときのお写真です。
まるで名画のようでした。美しくってしばらく見とれていました。
ぼくたちもいつかこのような舞台で演奏ができたら・・・そんな夢が膨らんできました。
お部屋に入りました。まるで、故郷の我が家に帰ったように座り心地のよいソファーが迎えてくれました。
座りなれたソファー。ソアーベのようにゆったりと気持ちよくなるソファーでした。
にこやかに迎えてくださる女先生。そして、今年80才を迎えるという坪口先生。しかし、全くそんなふうに見えません。
今年も心に残る言葉がたくさんありました。その中のいくつかを書いてみます。
最初にインパクトのあるお話がありました。
「人間をつくるもっとも土台となることは何だと思いますか?」という坪口先生の質問。
坪口先生はこう答えます。
食べること
排泄すること
でも、それだけでは、人間はゴキブリと変わらない。
「では、人間が人間足りうるものとして、持っていることは何?」と問います。
それは、
感じること
感動すること
目指すこと
とおっしゃいます。
僕もまったく同感です。感じること。感動する心。それが大切であり、音楽はその部分を伸ばしてくれる可能性を持っています。
それは、人間としての成長を意味するのだと思います。
先生が練習で心がけていることを随所所でおっしゃってくれました。
人間味を見せることが大切。それは笑い。笑いのある練習が大切。
遊びながらやる。今日はどんな歌を歌うんだろうとわくわくする気分を大切に。
子供達は楽しかったなあと思えるように。
そして練習が終わったら、子どもたちに「ありがとう」って言う。
坪口先生は練習だけでなく、普段の生活でもこれを実践されているそうです。
たとえば奥さんの食事をいつも「ありがとう」「おいしい」って言いながら食べているってお話をされていました。
ご夫婦で一緒にいると、いつも笑いが絶えないこと。
坪口先生の生活自体も合唱と同じだと思いました。ソアーベの雰囲気が漂っています。その雰囲気が合唱団の雰囲気となって出てきているんだろうなあと。感じました。
指導者の生きざま、考え方が歌声に現れてくるのかもしれません。
今回の訪問では、一つ聞きたいテーマがありました。
坪口先生は、歌は楽しむものである。子供達を気持ちを開放させることが大切とおっしゃいます。僕もまったく同感です。
でも、合唱を勉強していくうちに、技術も大切だと思うようになりました。
坪口先生も、技術的な指導は行っているはずです。ほめながら笑顔でやっていますが、技術的なことは、たしかに存在しています。(それは楽しさというオブラートに包まれていますが)
坪口先生が最低限行っている技術指導って何だろう?それが今回の訪問で解決したいテーマでした。
女先生(奥様)に聞いてみたところ・・・
ニコニコしながら、「ありません。」っておっしゃいました。でも、あえて言うなら、「いい気分になる雰囲気作り」というようなことをおっしゃいました。
でも、あえてしつこく聞いてみました。すると、坪口先生の口から、こんなことが出ました。
●日本語を大切にすること
言葉がはっきりするように
強弱をしっかりつけること。
これがすべてだとおっしゃいました。考えると、ソアーベの魅力は、これです。明るい言葉がどんどん心の中に入ってきます。強弱のある言葉やメロディと共に。
でも、その後のお話しの中に、僕にとって技術だと思えることがいくつか出てきました。
●ほめて指導
例えば、良い所をとめて、もう一度って歌わせる。
普通は、悪いところをとめて、もう一度って歌わせます。坪口先生は、まったく逆をやっているわけです。「う~ん、ここの所うまいなあ。もう一回やって」って。長所伸展法です。
(でもほめてばっかりでもだめ。あの先生はおべんちゃらを言ってるって見抜くそうです。)
●声を伸ばすとき
必ず1mmよけいに伸ばすこと。(ロングトーン)
これも大切な技術の一つだと思いました。指導者にその意識があるかどうかで、指揮も変わってきます。そして、歌のセンスも違ってくるように思いました。
●はじめとおわりが大切
これも、今ならよくわかります。最初にどう出るか。そして、終わり方もおしゃれにかっこよく。センスが問われます。
今回も指揮法についていろいろと教えてくださいました。
一番大切な事は、
曲の解釈だそうです。
それで指揮が決まってくる。
曲を解釈するためには、まず歌詞を大切にすること。
何度も音読することが効果的なように思いました。
そして、指揮では必要以上のことはしない。最小限度で効果が出るようにと言われました。
う~~ん、これがわかるには、何年もかかりそうです。いつかわかって来るんだろうなあ。名人芸の料理人と似ているなあと思いました。。
具体的な動きとしては、
背筋を伸ばす。
身体の向きを変える。
両手を使う。
大振りをしない。
そうやって、歌いやすいタクトを目指すこと。
結果として、かっこよくおしゃれになるように。
僕の欠点は「身体がいつも同じ向きに傾いてる」って言われました。ありがたいご指摘です。人間って、立っていると、どちらかが傾くという立ち癖があります。指揮になると、それが目立ってくるのかもしれません。
あと女先生から「スニーカーはやめて」って言われました。(笑)
今の自分に出来ること。それは、鏡を見ながら、言われたことを形にしていくことです。必ずできます。(と自分に言い聞かせる)
その他、いろんなお話を伺いました。
明るくふるまうことが大切
反抗期の子供の扱い方は、言い方を工夫すること。(ものは言い様)
態度でめげないこと。
こちらが挑戦の態度で接するのは良くないなど。
そこには、子供を一人の人間として尊重する精神が満ち満ちていました。
子供もいつかは大人になっていきます。その時、すべてがわかり、見抜かれるのです。
これは、痛切によくわかります。教え子たちが大きくなり、時々出会います。あの子供時代の話を聞く機会もあります。時には冷や汗が出てくることもあります。
みんな大人になります。だからこそ、一人の人間として大切に尊重していくことの大切さを実感します。
あっという間に、約5時間が過ぎていました。
始終笑いっぱなしでした。
そして、今回も根っ子の大切なことを学びました。
合唱は楽しむものである。
人生は楽しむものである。ということ。
子供達と過ごせる時間を大切にしたいと思いました。
彼らは奇跡的に出会えた大切な人たちなのです。
あれから一週間が経ちました。
一つ実行していることがあります。
それは、合唱団の練習や音楽の授業が終わるたびに必ずみんなありがとうって言っていることです。些細なことですが、行動しています。
今日も合唱指導がありました。坪口先生が聞いたら、「これはよくない」って言われそうな指導もしています。
でも、坪口先生から学んだ根っ子の精神を忘れないようにしています。
それは、一人一人の子供を大切にする気持ち。
感謝の気持ち。
楽しむ気持ち
坪口先生は、僕の人生の目標の人です。
あんなふうに軽やかに楽しく生きていきたいです。
今回も本当に楽しかったです。
感謝の気持ちを込めて、今日の記事にしました。