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様変わりした卒業生の歌 [合唱]

  今日は、6年生の歌の指導のチャンスがありました。

 一度歌ってもらいました。
美しい声でした。ハーモニーも決まっていました。でも、気持ちが伝わってこない歌でした。
 正直にそんな感想を言いました。

そして、子供達に問いました。

美しいけど、気持ちが伝わらない歌。
多少技術的に未熟でも、気持ちの伝わってくる歌。

どちらがいい?と・・・

子供達は、後者を選びました。

 それならば・・・と、僕は、6年生の子供達に、僕の思いを語りました。今まで子供達には話さなかったけど、一年間、胸にずっとためていた思いです。

今の6年生は、2年前、4年生の時に受け持っていました。

すばらしい子供達でした
花笠音頭で一つになって踊ったこと。二分の一成人式で将来の夢を語り合ったこと。2年前の様々な思い出は僕の宝物だということを語りました。。
 
 そして、2年後、僕は、再び、彼、彼女たちと音楽、体育という教科でお付き合いすることになりました。

 一年間、いろんな思いを持ちました。詳しくは書きませんが、複雑な思いを抱いて一年間を過ごしました。
 思春期の入り口に入った彼、彼女たち。その複雑な行動に悩みました。
 苦しみました。
 僕は、この一年、あんなに良い思い出を共有していた子供達との間に大きな壁を感じていました。
 そんな思いをすべて語りました。
 まず、僕が自分の気持ちをすべて見せました。
 子供達を信じて、すべてを語りました。

 そして、今度は君達の気持ちをみせて欲しいと言いました。
 仲間を信じて、歌で君達の気持ちを見せて欲しいと言いました。

 そう言って、指導を始めました。

 気持ちが伝わらないのは、山場で、力を出し切っていないのです。
 本来の彼、彼女たちが持つ本当の力をです。
 お腹に気持ちを込めることで、声がでるはずです。
 仲間を信じて、手をつないで歌ってご覧。
 そういいました。

 みんなが手をつないでくれました。
 みんなで手をつないで、ギュッと力を込めて歌いました。
 今まで出なかったような声が出ました。
 迫力のある声です。気持ちが感じられる声です。

 山場はOKです。

 あとは、言葉一つ一つの意味を考えながら歌いました。
 旅立ちの日にには、気持ちの込められた歌詞がたくさんあります。 
 いさかい 泣いた うれしさ 抱き合った 勇気

 それを歌声で表現させていきました。

 思っているだけでは伝わらない。
 うどん屋に言って、「天ぷらうどんが欲しい」といくら心で思っていても、それを声に出して言わないと、伝わらない。歌も同じ!!
 声の出し方や表情で表現しないと伝わらない。
そう言って、具体的にその表現方法を教えていきました。

 言葉の頭を強く言うこと。口をしっかりあけること。子音をしっかり発音すること。時にはお腹を使うこと。言葉に応じて、それらをすることで言葉は、気持ちは伝わっていきます。

 そうやって、最後に歌いました。

 今までと歌声はガラリと変わりました。
 大きく声を出すことで多少ハーモニーの崩れもでてきましたが、子供達の歌声は僕の心にブルブル震えるように届いてきました。

 そして、歌が終わった時、
 僕は泣いていました。
 離れていた子供達と僕の心が、歌声で結びついたような気がしたからです。

 僕は、こう言いました。
「初めて気持ちが伝わってきました。」
そう言って、僕は体育館を後にしました。
 職員室に向かう廊下で、涙が止まりませんでした。

 あとで6年生の担任の先生に聞くと、その後、何人もの子ども達が泣いていたということです。

 総練習でも子供達は昨日と様変わりした歌声を響かせました。
また、泣いてしまいました。
他にも泣いている先生がいらっしゃいました。
「ガラリとかわったね。」って言ってくださいました。

 今日はまるで青春ドラマのような一日でした。
 熱い一日でした。
 
 休みを挟んでの月曜日。いよいよ卒業です。
 6年生みんなで、気持ちを込め、大空へ旅立っていってほしいです。


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