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本宮ひろ志の自伝、天然漫画家 [本]

今日は、この本を聴きながらランニングを楽しみました。

天然まんが家 (集英社文庫)

天然まんが家 (集英社文庫)

  • 作者: 本宮ひろ志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: Kindle版

デビュー作『遠い島影』から、『男一匹ガキ大将』の大ヒットをへて
『俺の空』『硬派銀次郎』『サラリーマン金太郎』まで。

つねに新しいジャンルに挑み、数々の名作を生み出してきた本宮ひろ志が、
みずからの半生をはじめて明かす。
漫画にすべてをかけた男の熱き魂の自画像。

 本宮ひろ志というと、超売れっ子の人気漫画家というイメージがありました。事実そうなのですが、そこには、作品が生まれない苦しみとか葛藤などが書かれていました。

漫画家というのは、身一つで勝負です。
自分のアイデア。創造力が命になります。
たとえ大ヒットを出したとしても、そのあとが続くか。
時には逃げ出し。
時には、土俵際に立たされた状態で作品を生み出していたことがわかりました。

そんな中で、学びはいくつもありました。大きく二つ書きます。

短編を描く場合は、最初と山場をしっかりと考えておく。
すると、途中が多少ぐだぐだでも、作品になる。
おこられるかもしれませんが、これは、音楽づくりでも言えることだと思います。特に時間のない中、音楽づくりをする場合、この考えは、とても重要です。最初、だめだと後は聴いてもらえません。そして山場があって、初めて感動が生まれるのです。

漫画のストーリー作りには、横の線と縦の線がある。
横の線は、勢い。
縦の線は、それを裏付ける知識。
若手は横の線で一気に突っ走る。
しかし、それでは限界がくる。
だから縦の線が必要になってくる。

これも合唱に通じることです。
横の線は、音楽に対する思いや歌の勢い。
縦の線は、楽譜の解釈。
そのどちらも必要です。そのどちらもしっかりあって、初めて心のグググっと入り込む歌になるのだと思っています。

 さて、僕もかつて漫画家を目指していたので、最初の頃の話は、わくわくしました。

作者が講談社へ原稿を持っていったとき、立派な建物に驚いたこと。
もっと本を読み経験を積みなさい。と言われたこと。
僕は、集英社へ原稿を持っていき、同じようなことを言われました。

そして、作者があこがれの日の丸文庫へ行ったとき、ボロボロのアパートの一室に驚いたこと。
 僕も、憧れの雑誌「ガロ」を出していた青林堂へ行ったとき、材木屋の二階の建物に驚きました。

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 そして、その時原稿を見ていただいたのは、社長の長井勝一氏だったと思います。
 言われたことは今でも覚えています。

せっかく教師になれる大学に行っているのだから、教師になりなさい。と諭されました。
 今となっては、その言葉がよくわかります。それだけ食えない漫画家たちの姿を見てきたからだと思います。

 いろんな意味で、かつての自分を思い出し、そして今の自分と重ね合わせ、おもしろい本でした。
 やはり、何かを生み出すには、それなりの覚悟と学びが必要だと思いました。そして、ぶれない大きな北極星(目的)。何度も自分をリニューアルしていく必要も。
 ひとりの漫画家からの生きざまから学ぶところが多かったです。

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