父の本の出版目指して [言葉は言霊]
父が一途に取り組んで書いた詩や俳句をまとめ、一冊の本にしたいと思っています。父が、生涯一途に取り組んだ文学を通して、父を見てみたいと思っています。そのことが、父の真の理解につながると思っているのです。
本の題名は「言葉は言霊」。今は認知症となり、記憶も途切れていますが,父の書いた文は、生き生きと今もなお僕に語りかけてくれます。言葉には、その時の父の魂が宿っているのです。その父の魂を一冊の本にし、後の世にずっと残してあげたいのです。そうすることで、父は生き続けることができます。
本の出版目指して、このブログで少しずつ父の書いたものを載せていきたいと思っています。「言葉は言霊」というカテゴリーで書きためていきます。父の作品。そして、そこから受けた僕の思いという感じで。少しずつ少しずつ積み重ねていきます。できる範囲で、少しずつ。そうやって一冊の本にしていきたいと思っています。どうぞ、お付き合いください。
晩春
花粉をこめた夜の微風と 陶酔
再び出会ったあなたとは
過去の日々は話さなかった
息づく星の
ため息にも似た想い出のアルバムには
そっとリボンをかけておこう
純白のテーブルクロスにうつる
あなたのかげと
コーヒーカップを傾ける手のかげと-
いたわるような寡黙のなかを
晩春の夜は
かすかに匂っている
昭和32年。父が26歳のときの詩です。母と結婚する前、父には付き合っている人がいました。しかし、ある事情で別れなければならなかったということがあったそうです。子供のころ、母が「お父さんには、前に結婚をしようと思っている人がいた」と悔しそうに僕に話していたのを思い出します。
父にも、熱くときめくような恋愛があったのでしょう。だからこそ生まれた悲しい別れの詩です。