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「私たちは奇跡的な命を生きている」渡辺知子さん [本]

 致知3月号を読みました。とてもいい記事がありましたので、紹介します。ミュージシャン渡辺知子さんへのインタビュー記事「私たちは奇跡的な命を生きている」です。

 彼女は難病である紫斑病、クモ膜下出血という2度にわたる命の危機から奇跡的に生還し、現在は、精神的、肉体的ハンディのある若者たちとともにコンサート活動を繰りひろげています。

 クモ膜下出血で入院し、夢も希望も消えている時、一人のお爺ちゃんとの出会いが、彼女の運命を大きく変えたそうです。

 ある日、病院のリハビリ室にいた一人のおじいちゃんがニコニコしながら寄ってきて、「あんさん、最近よう見るばってん、どこが悪いん?」」と話しかけてきたんです。「クモ膜下」。ふてくされていた私は無愛想にそう返事をしました。そうしたら、「わしは脳内出血たい。見たところまったく同じやな。歩けもせんし、握れもせん。しゃべるもなかなかでけんばいね。」と、いともうれしそうに言うんですよ。
 そして、続けて私にこう聞くんです。「あんさん、夢なかろ?」と。「私にあるわけなかろうが」。「そげなことやけん、つまらんたい。医者の薬よりも夢のほうが効くばってん、わしはこう見えるばってん、大きな夢があるたい。あんた、わしの夢、聞きとうなかね。わしの夢はな、わしの夢はな・・・」と言い渋る。

 さてお爺ちゃんの夢は何だと思いますか。こう続きます。

「聞いて驚くな。わしの夢はな、もう一度この足で立って歩いてな、孫の手をひいて散歩をすることばい」。

 彼女にとってこの言葉は、衝撃的だったそうです。僕もぐっと来ました。
 その後、彼女は、「人の手を借りず、自分の力でトイレに行くことが夢」と宣言しました。

  彼女は変わりました。

 名前も知らないお爺ちゃんとの出会いによって私の物の見方は180度変わりました。たとえば、病室の壁に刺さっている押しピン、車椅子の私には絶対に刺せません。この押しピンをさせることがいかに幸せかを痛感しました。

 一度ゼロに戻った段階で夢を持ったとき、すべてが喜びにかわったのです。一つ一つできたことが喜びに変わる。
 本当にわかるような気がします。そして、こう続きます。

 考えたら、何一つ取っても無駄なものはない。すべて夢達成のために必要なことばかりでした。そしてやがて私は「自分でトイレに行く」という夢を達成しました。

 彼女は、夢を実現したのです。

  トイレで一人喜びの涙を流しながら、またとてつもない夢を私は描きました。それが「もう一度必ずステージに立つ」だったのです。

 そして、現在に至るわけです。現在に至るまで、おそらく想像を絶する積み重ねがあったことでしょう。でも一つ一つが喜びであったに違いありません。
 

「毎日同じことの繰り返し」と言って嘆く人もいますが、毎日家族がいて、職場の仲間がいて、同じ事を繰り返すことができるって本当に素晴らしいことなんですよ。

 人生いろいろあります。失敗したり、どん底に落ちるようなこともあります。そんな時、以前と比べることで苦しみ、自分を否定してしまう。生きていくのが苦しくなります。しかし、自分を認め、そこをスタート地点として夢を持つことで、一つ一つのことが喜びに変わっていきます。そんなことをこの記事から学びました。

 そんな彼女のコンサートの様子が映像であります。もしよかったら、ご覧ください。


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コメント 5

OKの

いや~いつも素晴らしい映像をありがとうございます!!
毎回心を揺さぶられます。

ムッシュさんに「自分と似たタイプ」といってくださって嬉しいです!!
音楽・ランニングなどの身体論・感性・読む本など、びっくりするほど重なるところがあり、恐れ多くも私もそんな気がビンビンしていました。
 しかし、私はただ憧れているだけであって、「いいなあ。最近何となく気になるなあ」と思っているとムッシュさんのブログでふっと教えていただくことが多いのです。
ムッシュさんは私の憧れ人です。
 今後も是非お付き合いくださると嬉しいです。
 いつか是非一緒に飲んで語らいましょう!

by OKの (2009-02-11 21:12) 

し〜さん

私もこの記事、読みました。
幸せについてのお話。前にもムッシュさんがブログで書いていたことを思いだしました。(自分が今囲まれている幸せに、不幸になった時始めて気づいてという話です。)

「今、目の前にある幸せを感じる。」
そんな幸せを感じるチカラは、ひょっとしたら、現代の子どもに足りないものかもしれないですね。

大人である私たちにも。
by し〜さん (2009-02-12 19:26) 

ムッシュ

OKのさん、ありがとうございます。大変お褒めの言葉を頂き、恐縮です。
しかし、私はしがない一教師。いやむしろ世の中の変化についていけず、ひいひい言っている不器用な部類に入る人間だと思います。
今は、そんな自分を認めつつ、うまく自分とつきあいながら、日々生き抜いていこうと思っています。
 若い感性は刺激になります。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。またいろいろと教えてください。

し~さんさん、いつもありがとうございます。
「今、目の前にある幸せを感じる。」
これって、大きな力ですよね。この力さえあれば、何もいらないくらいに。
それには、自己肯定感が大切なような気がしています。自分自身を愛せて初めて周りの幸せが見える。
 いまはそんな気がしています。
by ムッシュ (2009-02-12 19:42) 

パール

お世話になっている方のメールで渡辺知子様のことを知り、ウエブを見つけました。どうしてもかなわない夢がありくじけそうになっていましたが、渡辺知子様の生き方を知り、歌を聴いてどんな立場にあっても明日に希望を持って生きる姿に感動し力づけられました。どうもありがとうございます。
by パール (2010-07-06 23:37) 

ムッシュ

パールさま、コメントありがとうございます。
パール様のコメントがご縁で、過去にかいた自分の記事を見、勇気付けられました。
人の心は浮いたり沈んだり、でも、希望を持って生きること。それが幸せな生き方だということを再確認しました。
 ありがとうございました。
by ムッシュ (2010-07-07 04:07) 

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